ジェシー・ノーマンに寄せて | 野田市で音楽教室として日々の様子やレッスン内容など様々な情報をお届け

皆さま、こんにちは。

ソプラノ歌手ジェシー・ノーマンをご存知ですか？

オペラ界で一世を風靡した大スターです。今日、9月15日がお誕生日だそうです。といっても、4年前の2019年9月に他界されています。ご存命なら78才ですね。

若き時代はベルリンで活躍、カラヤン指揮のワーグナー「トリスタンとイゾルデ」の名盤があり、特に「愛の死」は強く心に残る演奏です。オペラだけではなくドイツ歌曲も大変深く学ばれていた方で、リヒャルト・シュトラウスや、音源の少ないシェーンベルクやベルクなどは何度も繰り返して聴いて、多くの刺激と学びをいただきました。

もっとも印象に残っているのは、初来日のリサイタルです。1985年なのでずいぶん昔のことですが、それまでレコードやCDでしか聴いたことがなかったジェシーノーマンの生の声に触れた感動は鮮明に蘇ってきます。確か東京文化会館だったか、昭和女子大人見記念講堂だったか・・そのどちらかです。もう会場が感動の波で覆い尽くされていたのですから。人類が持つ最高の楽器は「声」なんだ！と思わせてくれた演奏でした。

今思えば、当時の彼女は40才、歌い手としてノリに乗っている時代でした。

10年以上前になりますが、ウィーンのコンツェルトハウスでジェシーノーマンがリサイタルをするというので、期待に胸を膨らませて渡欧しました。ところが、リサイタル当日コンツェルトハウスに行ってみると、入り口ドアに「病気のためキャンセル」と白い紙が貼られていたのです。はるばる日本から駆けつけたワタシはものすごく落胆いたしました。もう一度ジェシーノーマンのコンサートを聴きたいと思い、チケットは払い戻しではなく、翌年に延期されたリサイタルのチケットに替えてもらいました。そして翌年、リサイタルに合わせて渡欧・・なんと再びドタキャンの憂き目に遭いました。オペラと違い代役の効かないリサイタルをキャンセルするとは、よほど体調が優れなかったのでしょう。

それ以来、彼女のコンサート情報も伝わって来ず、時が流れ4年前の9月、折しもワタシがウィーンを訪問中、ジェシーノーマンと共演していたピアニストさんのお宅で訃報に接しました。コンサート時の写真を見せていただきながら彼女を偲んだことを思いつつこのブログを書いています。

長くなりました、最後までお読みいただきありがとうございました。

「深い河」ジェシー・ノーマン